お腹空いてませんか?

映画・読書・音楽

みなさんご機嫌如何でしょうか?
5月に入り天気が目まぐるしく変わり、なかなか気温も乱高下して体調管理が難しいです。

さて、今回はドラマ評論です。

この作品の見どころ

①人とのつながりは必然的
②何気ない日常に幸せが満ちている
③誰かとごはんが食べたくなる

人は人によって支えられている

今回紹介する作品は
「パンとスープとねこ日和」

このタイトルでどんな作品かイメージ出来るでしょうか?
この作品は「群ようこさん」が2012年に刊行した原作が映像化されたものです。

ここからは本作ネタバレになりますのでまだ観ていない方、興味無い方はここで読むのは止めて下さいね😁

人生の転機はそこかしこに…

主人公アキコは出版会社の編集者。同居の小料理屋を営む母が突然亡くなり、人生が大きく変わる。
現場に拘り数多くの書籍を世に出していた中、突然現場から経理部へ異動話が持ち上がる。
会社は若手育成として、アキコのポジションチェンジを提示。組織で働く者の宿命であるが、丁度母親が亡くなった時期と重なる。

場面が変わり、担当の作家との話すシーン。
これまでいくつも作品を出してきて、丁度新作に向けた打ち合わせ。

アキコ「先生!先生の半生を書いてみませんか?」
作家「私まだそんな話は書けないわー」
と話は保留される。

打ち合わせの時アキコはサンドイッチを作って持参し作家と一緒に食べていた。
「あなたの作るサンドイッチはいつ食べても美味しわねー」と言わしめるクオリティ。
そんなやり取りのがあった。作中何度も料理を作るシーンが描かれる。

母の小料理屋は商店街の一角にある。昼も夜も営業するスタイルで常連客も沢山いる中、近所の商店の旦那衆も足繁く通っていた。亡くなる当日も作中に登場する常連客二人が病院に搬送、アキコに連絡する。店は休業中の最中、一旦は完全閉店としていたが、アキコの人事異動話でこれまでのキャリアを捨てて、アキコは一大決心をする。

迷いネコ

通りを面して母の店と同じころに始めた喫茶店がある。
店主は老年期に差し掛かった女性。あとアルバイトの30過ぎのウエイトレスと2人で切り盛りしている。店主は一見するとしかめ面で皮肉屋の様に物事をはっきり言い、近寄り難いタイプ。
ただ、よくよく接すると言い方がストレート過ぎた損な人。アキコは小さい頃から店主とは顔馴染みであり、今更彼女の言動には驚きは無く上手く聞き流している。

ある朝休業中の店先に一匹に猫が座っていた。
近寄っても逃げる訳でも無く、抱き上げると怪我などもしていない。そんな様子を見ていた喫茶店の店主が「この猫はきっと招き猫だ!」と言い、初めは飼うつもりも無かったのに半ば強引に引き取らされた格好になる。
しかし、母が亡くなり心に空いた穴が有ったのだろう、猫を飼うことにする。

「お前の名前は…たろにしよう」

忌引き休みが明けて会社に出社するが、その後退職の選択に至る。
退職前の挨拶回りの中、担当している作家との会話の中で

「あなたこの先どうするの?」
の問いに、まだ何をするか決めていない旨を伝える。
一人でいつもの様に夕食しながらの晩酌。そしてたろと接する中、何気に見た母の遺影を眺めながら決断する。
暫くして母の店を改装しアキコはサンドイッチ屋を始める。

新たな門出に

改装を終えその間、店で出すメニュー作りを繰り返して模索する。
商品はサンドイッチと日替わりで提供するスープをセットに。
内装を整え、次に手伝ってもらうアルバイトを募集する。

数名の面接を経て、アキコは面接の時間に遅れ履歴書を忘れたしまちゃんを採用する。
長身の彼女は花に詳しく、場を和ませる魅力の持ち主。スタッフも決まりお店を開店する。

常連の旦那衆や喫茶店の店主。そして訪れるお客との関りの中でアキコは試行錯誤をしながら店運営していく。

営業スタイル
①三種類のパンから一つを選び、日替わりのサンドイッチ中身とスープを提供
②営業時間はお昼前に開店し、午後15時頃には閉店
(仕入れ分が無くなればそこで閉店)

母親の店とは雰囲気も提供スタイルも全く違う。そこにはアキコのこだわりや思いが随所にちりばめられている。またしまちゃんの存在感もお店には欠かせないものとなっていく。

まとめ

この作品はwowow連続ドラマWで2013年に放映されています。
今回私がこの作品を知ったのはアマゾンプライムからの視聴より。
主演のアキコに小林聡美さん
喫茶店の店主にもたいまさこさん
その他脇を固める俳優陣も個性派揃い。

物語は4話完結。一話54分と見やすいです。


時間経過と共に亡くなった母親とアキコの関係が徐々に明らかになり、アキコと作家との交流。サンドイッチ店を始めた後のしまちゃんやお客との巡り合わせ。そして猫のたろについてなど一話完結でいつの間にか登場人物に対して思いが巡ります。

放映時期は今の世の中とはまるで違い、まだ流行病も無く人々との距離感が近かった。
撮影舞台は東京世田谷区。都電が行き交う商店街。昭和風情をかもしながら当時は平成の世であるが、何となく懐かしく、そしてどことなく温かい人との距離感が心地良い。


リストラ、独身女性など社会情勢を入れながらも、作中の作家で料理学校の理事長役の岸恵子さんの
「あなたの好きなようにやればいいのよ」のセリフは、今を生きる私達に響く言葉です。
新たに物事を始めるのに年齢は関係は無く、きっかけは辛い出来事でも、始めてしまえばどうにかなるのだと群ようこさんが教えてくれるようです。

淡々と過ぎる日常の中
一人より多くの人と食事や飲み交わす
それぞれに悩みなどを抱えながらも生きてゆく

これからの生活はかつてのようにならないかもしれないが、他者とのつながりを持って生きたいと感じさせる作品でした。

今週末の一作として観てみては!

只今
①アマゾンプライム
②U-NEXT
にて放送されています


今回はここまで

最後まで読んで頂きありがとうございます

次の記事で会いましょう。

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