私が介護福祉業界に来て早19年が過ぎ、振り返るとあっという間でした。これまで続けてこられたのは、私の働いている法人は複数の部署が在り、これまで違う部門部署を巡ることで、その時に携わった様々な経験を得ることが出来たことからでした。
さて、どの業界にも歴史が有ります。介護福祉の世界は医療関係と違い、割と新しい分野です。そんなことを考えていたら今回の記事のネタになりました。
そこで改めて介護福祉業界の歴史についてちょいと見ながら、現在に至る業界の流れなどを考察していきます。

介護保険成立まで
1961年 静岡県浜松市に養老施設・わが国初の特別養護老人ホームの先駆けとして創設されました。
1962年 訪問介護・ホームヘルプサービスが創設されました。
1963年 老人福祉法が制定され老人福祉政策が始まりました。
1973年 老人一律無料化になりました。
1978年 短期入所生活介護・ショートステイが創設されました。
1979年 通所介護・デイサービスが創設されました。
1980年 老人保健法が制定されました。
1987年 老人保健法が改正され老人保健施設が創設されました。
1987年 社会福祉士法及び介護福祉士法が制定されました。
1989年 老人保健福祉推進10ヵ年戦略ゴールドプラン
1994年 ゴールドプラン21が創設されました。
1997年 介護保険法成立しました。
2000年 介護保険法施行されました。
mjc-carejob.comより
こちらは介護保険制度が始まる前の流れを現したものです。
しかし、調べてみると更に歴史は古く、明治28年東京市芝区に設立された、聖ヒルダ養老院が初めてとされています。今で言う高齢者施設です。
当時養老院は今の高齢者施設と様子が異なり、身寄りの居ない貧しい方が入院する施設で、環境面も相部屋6人以上で一室で生活する場所も有るなど生活環境面においては、快適だったかと言うと?が付く施設が多かったのかと予測されます。
俗に”あのじいさん養老院に入れられたよ”
などと、当時は(介護保険が始まる前など)姥捨て山的な物言いだったことを覚えています。
介護受けるイメージとしては、これは現在でも一程度の世代では、ネガティブな印象、暗いもしくは悪い意味合いで使われています。
良く聞かれるのは
”あんなところ(特養などの高齢者施設)に入る位なら、死んだほうがましだ”
”ああーあの人子供との仲悪かったから、捨てられたんだね(特養などの高齢者施設への入所)”
など、介護保険が始まって20年過ぎても未だに聞かれることが有ります。
どんだけ、福祉に対するイメージは”悪く、低いんだーと”心の中で叫びたくなりますが、このこともまた現実問題として受け止める必要が在ります😥

介護保険成立後…そして今…
介護保険は3年に一度制度の見直しが有ります。
正式には介護報酬改定と言います。
介護保険がスタートした2000年より、今回(2021年)で7回目の改定で、我々介護福祉事業者はこの改定に常に一喜一憂しています。
何故かって?
それは、ぶっちゃけ言うと、この報酬改定で我々が国からもらう金額(給与)の増減が決まるからです。そして、直近2018年度はプラス0.54%でしたが、下の表を見てもらうと分かると思いますが、過去数回の報酬改定は大幅なマイナス改定だった年も有り、そのために給料が上がらなかったのでした。

※グラフを基に簡単な計算をしてみます。
プラス改定:3.0+1.2+0.54=4.74
マイナス改定:(-2.3)+(-2.4)+(-2.27)=-6.97
比較:-6.97+4.74=-2.23となりまして、2003年~2018年の介護報酬の推移がこの結果です。
良く福祉業界は他の業界より平均年収で100万円ほど低いと言われていますが、上記の数値でも分かるようにこの15年上がっていません。
ただこの介護報酬については、更に細かく見る必要が在りまして、介護福祉業界は実に細かいジャンル分けがされております。
大きく分けて「居宅系サービス」と「施設系サービス」の2種類に分けられます。
更に居宅系サービスは13種類、施設系サービスは3種類に分けられており、今回そのすべてのサービスについての説明は割愛します。
(今後私が分かる範囲でブログにて細かく説明していきますね😀)
ちょっと話がそれましたが、この介護報酬改定については様々な方々が論じられています。一般業種、公務員などなど世の中には様々な仕事が有ります。
医療を例にしてみてみると、仕事として認知されたのはきっと江戸時代位からでしょうか?その前より有ったのかもしれませんが、私が知る限りではこの時代からだと記憶しています。
時代は流れ、国が体系付けて今で言う医療報酬の形になったのはこれまた、江戸時代の薬札がその起源の様で、江戸時代初期の医師長田読本が薬一服十八文と表明することで、生計を立てていたとの記録が始まりの様です。
※十八文=一文(いちもん)が18円なので324円となります。
それから時代は流れ、第二次世界大戦後アメリカの影響から現在の診療報酬1点=10円へと変遷があるようです。
医療だけ見ても400年以上前から、医師をはじめとした業界の報酬が論じられており、介護福祉分野はまだ21年目。今後切に思うのはせめて、他の業種と同じ位の賃金水準になることです。
今回は歴史と言いながらも、介護業界のシビアな内容が後半部分を占めてしましました。
介護福祉業界はやりがいがある業界で有る一方、この賃金体系の低さから志半ばで辞めていく人が多いのも事実です。
高齢者は増え続けますが、いわゆる団塊ジュニア世代が75歳となる後期高齢者になると、その後は人口ボリュームを考えると、これまでの介護問題(費用面・施設介護か在宅介護かなど…)について、今ほどの問題は無くなるのかと考えます。
しかし、高齢者を支える現役世代が現状よりも大幅に不足したのであれば、社会福祉に掛けられる財源は有るのか?(税収面)人材は足りるのか?(マンパワー問題)など別な問題が出てきます。
※団塊ジュニア世代:1971年生まれ~1974年生まれを差す。
歴史を紐解くとその業界が見えてきます。
今後も私がこれまで学んできたことや体験してきたことを、現状に照らし合わせて記事にしていきます。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
それでは次の記事でお会いしましょう。
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