みなさん日々認知症グループホームで入居者さんたちと格闘中のよしぱらです。
実際の施設介護では在宅介護と違う問題があります。
今回は「介護現場の問題解決で在宅介護にも役立つアイデア」と題して考察、実際の現場での取り組みを書いてみます。
⚠️今回の記事は筆者の経験を基に書いていますので、この対応が正しいとは断言できません。
一つのヒントとして捉えていただけると幸いです。
♨️入浴について
第1回目は入浴についてです。
認知症になると不思議とこれまで風呂好きが一転風呂嫌いになる人が多いです。
介護施設において該当する方が必ず一人や二人はいまして常に現場での悩みのタネです。
ところで、介護施設において入浴の基準なるものがあります。それがこちら👇
指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準
出典:厚生労働省 ○指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準より
(平成十一年三月三十一日厚生省令第三十九号)より
「第十三条 2 指定介護老人福祉施設は、一週間に二回以上、適切な方法により、入所者を入浴させ、又は清拭しなければならない。」
これを守らないと基準違反となり、数年に一度の都道府県の監査で引っかかります。
(これ介護現場ではとてもこわい調査なのですよー😨)
昨今認知症であっても個人の意思尊重などは重要視されています。そしてこれら運営基準も守らなければならないため、個人の意向を尊重する反面、既定のサービス提供を行う中で入居者の激しい抵抗が毎回あると現場職員はげんなりします。
同様に在宅介護においての風呂嫌いについても、ご家族が大変な思いをされているのかと予想が付きます。そんな風呂嫌いはどうして起きるのか?
考察と介護現場での取り組みから在宅介護でも使える方法を提案していきます。

考えられる要因
2記憶障害から入浴に対する印象が悪くなった
3入浴自体の記憶が無くなった
1について:おそらくこれがもっとも多いのかと思います。入浴には様々な工程があります。
認知症になると、ものごとを順序立てての行動が苦手になります。
2について:こちらも理由として上位に挙がってきます。
例えば
②激しい食べこぼしや排便が間に合わず体中汚れが落ちなくいきなり風呂に入れられた
③入浴=危険な場所 恐ろしい場所
(②の状況を受けて)
など実体験がいつの間に過去のマイナスイメージなどから引っ張られて違う記憶のすり変わりが起こります。
3について:入浴を勧めてその場では入ると意志表示は確認出来ていたのに、いざ入る時に記憶がすっぽり抜けて、2のような過去の記憶を持ち合わせた方では激しい拒否が起こる可能性があります。
考察はこんな感じでしょうか。
現場での対応方法と在宅で使えそうなヒント!
入浴がめんどくさい方や拒否する方には何らかの理由があります。
直接「お風呂に入りましょう」
と言ったところで大方拒否されるでしょう。そこで施設でよく使う言葉かけです。
その1:お風呂に連れ出す時
ポイント:「お風呂とは決して言わない」
②あちらで(浴室)○○さんを呼んでいる人がいますよ!!(誰が…)
③○○さんに大切な話があります こちらに(浴室)来て下さい!!(どんな話だー!!)
まずは浴室(脱衣場)に来てもらいます。これがすべての始まりです。そしてまんまと足が進めば第一段階が成功です😁(しめしめ…)
これを在宅に当てはめてみると次のような言葉かけはどうでしょう?
②明日出掛けるよ!だから体洗ってね!
(好きな人・場所など具体的に挙げるとOK)
③ごめんね!間違ってお湯入れたのよ!
お湯を捨てるの勿体ないから入ってくれませんか?
ポイント:ここでもなるべくお風呂とは言わないで意識をずらした言葉かけが大切ですね。
その2:脱衣場に連れて来て (風呂に来て現状が分かり拒否しはじめた時)
(食欲旺盛な方にOK)
②この後息子さん(家族なら誰でも)が迎えに来ますよ!
(帰宅願望が強い方にOK)
③病院の先生が来ます。体を診てもらいますのでお風呂に入ってきれいにしましょう!
(権威などに弱い方にOK)など…
嘘の正当化は本来NGです。
けれどのっぴきならない状況下で介護を行っています。いつ何時体調が悪くなって風呂どころではなくなる状況も起こります。
最後に風呂に入ったのが思い出せないでは、いかがなものかと思う次第です。
そして言葉かけ一つについても、常日頃筆者は以下のような思いを胸に仕事しております。
🎬嘘は演技
🎞️介護者は俳優…😁
次にこれを在宅に当てはめてみると以下のような言葉かけはどうでしょう?
②病院に行くよ!医者さんに診てもらうからきれいにしようよ!
③水が止まるって!今のうちに入っておこう!
ポイント:大切な場所に出掛ける・誰かに会う・状況の大きな変化を強調し相手の意識を向ける。
物事総じて強要したところで、結果大体うまくいきません。本人の拒否が強く続けば一旦止めます。
それは入居者の安全性や今後の対応に影響があるからです。
入浴を勧めたがために興奮している人も多いので、作戦の変更として担当職員や時間帯を替えて相手の出方を見て再度挑戦します。
まあー究極的に言えば人は風呂に入らなくても死にませんので、時間を掛けて信頼関係を作り、日頃から風呂嫌いな入居者と何気ない会話から理由を理解する必要があります。
聞き出した情報を基に考察すると以下の様な思いが挙がってきます。
②風呂に入る習慣が無かった
③体が痛いもしくはお風呂に入るとその後疲れて大変だから
など
①について:昔行った手術か何かで体の一部に欠損があったり、または若い時期に入れた彫り物があるなど視覚的な要因と、他人の視線に対して恐怖を感じるなど精神的な要因があると思います。
②について:これは珍しいケースですが習慣がない方がいます。また今の介護現場ではまだ少数ですが本州など地域によっては、多くの外国の方が暮らし事情により施設入所され、入浴提供の場面で母国で習慣が無いと入りませんね。
③について:体に麻痺や拘縮(筋肉などが硬くなって関節など曲げ伸ばしが出来ない状態)からの痛み。心臓に疾患がある方は疲労感が強くなり、その後の時間が無駄になってしまうなどで入りたくないと思う方がおります。
お風呂は極めてプライベートな空間であり、人前で例え同姓同士であっても自分の裸は見られたくない場合があります。入りたくない理由は人それぞれ、何気ない日々の会話が大切なのはふとした瞬間に教えてくれるタイミングがあるからです。
入浴拒否気味の方に対するリサーチは日頃からの会話から収集が大切ですね。

施設では入りたいと思って頂けるように、日々様々な環境作りの工夫を行っています。代表的なものを挙げてみました。
②心地よい音楽を流す
③入浴後のマッサージ
④担当職員を固定する
⑤足浴などから徐々に慣らす
⑥一般的な家庭にあるお風呂(個浴)に入ってもらう
⑦入浴時間を夜にして在宅にいた頃に近づける
上記より在宅でも使えそうなヒントがあれば幸いです。
そして在宅だと導入しやすいものは⑦の夜に入るこれが一番ですね。
現状施設では職員の数が少ない事業所が多く、夜の提供が職員不足から出来ない場合が多いのです。夜に入ってそのまま寝る、今までは当たり前に行っていた生活が実はとても良かったものだったと痛感します。
代替案について先程書いた内容と重複しますが、施設では以下の様な取り組みがあります。
②毎日ひたすら声を掛け本人の気分が乗ったタイミングを探る
(着替え一式は常に用意しておく)
③着替えの言葉かけでまず脱衣場に誘導し、浴室を見てもらい気持ちを入浴に向ける
(お風呂はいつでも入る状態で誘導)
認知症介護で入浴以外に苦労する場面を書いた記事がありますコチラもどうぞ👇
更に認知症を患った方々の暮らしから垣間見える彼らの心情について書いた記事もあります
こちらからどうぞ👇
まとめ
今回は「介護現場の問題解決で在宅介護にも役立つアイデア」その1と題して書いていきました。
入浴は
良い気分転換の場であり
身体面の観察の場として怪我の有無や体調確認を行うのにも重要です。
日本において入浴は歴史と様々なタイプのお風呂や温泉地など生活に根差した文化としても位置付けられます。入り方など個人によって様々ですが、総じて楽しくリラックス出来る時間なのかと思います。
施設介護と在宅介護では関わる人や環境が違い、双方に良い面と悪い面があります。出来るだけ認知症を患っている本人の気持ちを尊重しながら、入浴後の「ああー気持ち良かったよ」と声が聞かれれば良いと思うのです。
そんな介護を行う上で少しでも楽になり、楽しくなるヒントをこれからも介護現場で行っている様々な取り組みから在宅介護でも役立つ情報を紹介していきたいと思います。
今回はここまで
最後まで読んで頂きありがとうございました
次の記事で会いましょう。
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