7月は夏の始まりの時期。 和名で文月(ふづき、ふみづき)です。暦のうえでは秋となるようですが、これからますます暑くなり秋と言ってもピンときませんね。文月には七夕や短冊などをその語源とする説もあり、本州では7月7日に七夕を終わりますが、北海道の一部の地域を除いて来月にあります。
さて「かがくいひろしさん」
この名前知っている方はきっと小さなお子さんをお持ちの親御さんでしょうか?
先日7月9日の朝9時に放映している日曜美術館を観ていたら彼の半生を紹介していました。
そんな番組を通して感じた気持ちを今回は書いてみます。
人は誰かのために生まれる
改めてかがくいひろし(加岳井 広)さんについて調べてみました。
東京都出身。1980年東京学芸大学教育学部卒業。美術教員として教鞭をとりながら、人形劇活動や造形作品の発表を行う。2003年、第13回紙わざ大賞展準大賞、2004年、第26回講談社絵本新人賞佳作を受賞(二度目)[1]。2005年に『おもちのきもち』で第27回講談社絵本新人賞を受賞、これがデビュー作となった。2009年に54歳ですい臓がんのため急逝する[2]までの短い期間のうちに、多くの作品を発表した。代表作『だるまさん』三部作シリーズは累計発行部数552万部[3]のベストセラーである。
ウィキペディアより
日曜美術館では障害児教育者として現場で子供達と過ごしている様子が紹介され、その傍らで執筆活動を行っていたようです。彼の代表作『だるまさん』この絵本は現在も重版を重ね出版されています。
この絵見たことある人いるでしょう😊

筆者もかつて社会福祉士の勉強をする中の単元(児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度や障害者に対する支援と障害者自立支援制度)で児童に関する項目を学びました。
現状の保育・幼児・小中教育学や発達障害教育学を学ぶ(学校先生を目指す)方々とは違うカリキュラムだと思いますが、これら定型発達教育・障害教育の概要や子供らを巡る社会情勢などを知るきっかけになりました。
さて、かがくいさんはもともとは画家志望の様でしたが、大学卒業後障がい児教育の教員になります。病気や障がいからハンディを負った子供達と日々接する中で彼らのわずかな動き・表情の変化から子供達の成長を感じつつ教員の傍ら自身のライフワークとなる絵本作家へと進んで行きます。
現在社会は時間や成果、結果、効率などに視点が置かれまた求められる世界です。その中にあって一度事故や病気などを負うと、「厄介者」「邪魔者」「いらない、不要…」などと社会から追いやられてしまいます。本来はあってはならないのだけれど、日本社会は弱者には容赦なく無言で圧力を掛けてくる社会です。ゆえにこの国生まれてしまった宿命なのか幼少期から日々勉強が始まり、そしておとなになったら仕事に追われた生き方になってしまいます。
けれど実社会で私達は様々な人達と出会い、そして触れ合い関りから自分の生き方が変わったりする場面もあるでしょう。ここで筆者が思うのが
人は誰かのために生まれてくる
この聞き古された言葉。どんな人にも、なにがしかの生まれてきた理由があると思います。理由と言っても様々ですが、それは友達を見付けたり、恋人・結婚相手だったり、天職や趣味、生きる目的などを
そうでない人
今この瞬間も探している人
様々です。
いささか哲学めいた考えではありますが、「人は一人では生きて行かれず」今の生活は誰かの働きによって支えられていますから。
絵本は好き
筆者が初めて読んだ絵本は何だっただろう?
もう記憶にはないなー。 きっと 3、4歳頃なのかな?きっとその頃に親に本を読み聞かせされていたのだろうか。筆者は子供の頃電車や汽車の本に興味がありまた。また怪獣や不思議な出来事も好きで、それらの原点に絵本があるのかもしれませんね。
ここ数年書店に行くとなぜか絵本のコーナーが気になっていました。理由は定かではなく何となくでしたが、そんな折今回NHKで放映されていた日曜日美術館を観て「かがくいひろしさん」を引き寄せたのかと思いました。
ところで絵本はいつの時代からあったんだろう?
気になってググると以下の説明が
世界初の絵本 絵本の起源はいまだはっきりとした事実はわかっていませんが、1845年にドイツのハインリッヒ・ホフマンが出版した「もじゃもじゃペーター」という本が世界初の絵本と言われています。 子供向けの絵本としては少しブラックな内容ですが、様々な言語に翻訳され、世界中の子供たちに読まれています。
ギフト絵本ドットコムHPより
絵本の原点は寓話を基にしていると聞きました。
寓話とは 「教訓的な内容を、他の事物、主として動物にかこつけて表わした、たとえ話」
始めの絵本がこれに当たり時代性や国柄などの要素はなく、人にとっての普遍的な考え(例えば物を盗んではいけない、人を傷つけてはいけないなど…)があるようです。その後イソップ物語など数多くの絵本が出て来て、子供のしつけや好奇心を高める話へと進化していきます。
絵本を手に取るタイミングはいつだろう?
ある程度大きくなってから?
それとも興味を持った時?…
はじめて絵本を手に取った親には自分の子供時代の懐かしさが蘇り、子供にはきっと初めて見聞きする世界があるのでしょう。あの絵本独特の世界観は見たり読んだり、読み聞く者双方に本の持つメッセージが共有できるなどそこには、親子の大切な時間を育んでゆくのかと思います。
子供はきっと親が読み聞かせしてくれたことは忘れてしまうでしょうが、親は絵本を手に取るたび、かつて読み聞かせしていた幼かった我が子との成長をいつまでも思い出すのでしょうね。
そんな原体験がきっと筆者の中にあって、なぜだろう今も手に取ってしまっては読んでしまうのかと思うのです。
これまでそしてこれから
さて、はじめて絵本が世に出た時代の人と現代人とは文化や社会情勢の違いがあれど、人としての精神構造と言うのか感受性などにはさほども違いないかと思うのです。
けれど現代において日々流れてくる情報量は膨大で、一説によると私達の情報処理能力は原始狩猟時代の時と変わってないと言われています。明らかに現代は情報過多であり人の処理能力をはるかに超えた時代を生きています。
日々変化が目まぐるしく起こっている現代において、それでも親と子との共有出来る時間の長短はあれど本質は変わらなく、その大切で尊い一瞬の時間の中で絵本を通して過ごす親子の時間はきっとこの先も変わらなく続くと思うのです。
かがくいさんの著書『だるまさん』の一ページに目を向けると、だるまさんの単純な動きの描写と短いセリフが目に耳に入ってきます。
そして次のページにはこのユーモラスな描写から子供達が思わす笑ってしまう展開が描かれています。
単純かつ表情豊かな画力から紡がれる絵と言葉に込められた想いは「やさしさ」なのかと感じました。
かがくいさんは50歳になってからの遅咲きのデビューでした。けれど彼はこれまで教育現場で培ってきた経験と日々描き続けアイデアノートは多数に及び、やがて一冊の絵本が出来るまでの道のりを彼の半生を知る中で改めて
人は誰かのために生まれてくる
その役回りは一人一人違っても理由があるのかと思うのです。
そして54歳で逝去されましたが、これまで過ごして来た時間、人達との関係から彼が綴った作品へと繋がりやさしさに溢れた方なのかと思うのでした。
まとめ
今月最初のブログはかがくいひろしさんの紹介になりました。教育者として28年そして絵本作家としてこれから活躍が期待されていた方でしたが、彼が残した作品はこれからも読み継がれていくのだと思います。
絵本一冊に込められた作者のメッセージは、子供にだけではなく大人になった人にも繋がっていきます。
番組最後かがくいさんの言葉に
「僕は本当は悲観主義者なんです…絵本の作品の中では悲しい、辛い作品が多くあるのですが
僕の作品は誰もが笑って明るくなれる作品にしたいと思うのです」
と語られていました(筆者の記憶です間違っていたらすんません😅)
人を支える仕事をしてこられた方の言葉です。筆者も高齢者福祉に携わり今も認知症入居者と日々関わっております。改めて人は一人では生きて行けません。
持ちつ持たれつ、一杯迷惑かけてそしてフォローしてやがて旅立ちます。
彼の生き様は筆者の心にとても響いたのでした。
現在彼の展覧会が長野県のイルフ童画館で開催されておりその後岩手県を始めとして巡回予定があります。ご興味ある方はリンクを貼っておきますので見て下さいね。
そして今回紹介した日曜美術館の再放送があります
日曜美術館 だるまさんの魔法 絵本作家かがくいひろし🈑🈞
NHKEテレ
7/16 (日) 20:00 ~ 20:45
※お住いの地域では再放送について変動あるかもしれません
詳しくはリンクを貼っておきますのでご覧下さい
https://artexhibition.jp/tag/%E6%97%A5%E6%9B%9C%E7%BE%8E%E8%A1%93%E9%A4%A8/
今回はここまで
最後まで読んで頂きありがとうございました
次の記事で会いましょう。
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