異世界転生モノとは、主人公が死んだり事故にあったりして、別の世界で生まれ変わるという話です。このジャンルは今とても人気がありますが、その理由は何でしょうか?
今回は異世界転生モノの人気の理由や転生においての魂の法則について、具体的な作品を例に挙げて考察してみたいと思います。
⚠️記事内にネタバレ含みますのでご注意を!!
異世界転生モノの人気の理由①「主人公が強くてかっこいい」
異世界転生モノでは、主人公は最初から特別な能力を持っていたり、異世界で強くなったりします。
例えば『転生したらスライムだった件』では、主人公三上悟は転生してスライム(リムル)になりますが、相手の能力を奪える「捕食者」というスキルや、世界の理を知る「大賢者」というスキルを持っています。これらのスキルを使って、リムルは様々な魔物や人間と戦ったり仲間を作ったりします。

『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』では、主人公は34歳の男性ニートは交通事故で転生し赤ん坊になりますが、前世の記憶や知識を持っています。それに加えて魔法や剣術の才能もあります。その後赤ん坊から幼児期そして成長しながら異世界で冒険や恋愛を楽しみます。

このように異世界転生モノでは、主人公が強くてかっこいい姿を見れます。これは読者に爽快感や快感などの感情移入から疑似体験させ、読者自身に「自分もこうなりたい」と思わせ、頭が良くなりたい強くなりたいなと願望が沸き起こるかもしれません。
異世界転生モノの人気の理由②「主人公はヒーロー・ヒロインにモテる」
異世界転生モノでは、主人公は異なる種族や国籍の男女と出会ったり、恋に落ちたりします。
例えば、『Re:ゼロから始める異世界生活』では、主人公ナツキスバルは転生後の異世界で死んだら時間が巻き戻る「死に戻り」という能力を持っています。この能力を使って、スバルは異世界で出会った美少女エミリアたちと協力しながら、難題や危機を乗り越えていきます。

『オーバーロード』では、主人公鈴木悟はオンラインゲームの中で最強の魔法使いとして目覚めます。そのゲームの中にあった自分の拠点や配下も一緒に異世界(ユグドラシル)で存在し、ユグドラシルでこれまで一緒にゲームを楽しんでいた自分と同じく転生したと思われるギルドの仲間探すために自ら最強を目指していきます。

このように異世界転生モノでは、主人公がヒーローやヒロインにモテる姿を見れます。これは読者にとって楽しみや幸せを感じさせるとともに、「自分も恋愛したい」という願望を満たせるのかと思います。
異世界転生モノの人気の理由③「主人公が異世界で冒険する」
異世界転生モノでは、主人公は自分の知らない世界で様々な挑戦や発見したりします。
例えば、『転生したら剣でした』では、主人公は転生後なぜか剣になってしまいますが、元奴隷で黒猫族のフランに拾われて一緒に旅をします。その旅の中で主人公は自分の能力を高め、仲間を増やしたりフランの成長をサポートしていきます。

『とんでもスキルで異世界放浪メシ』では、主人公向田剛志(ムコーダ)は、保有スキル「ネットスーパー」を駆使して冒険する中ひょんな出会いから従魔契約を交わすフェンリル(フェル)やスライム(スイ)等を引き連れ、異世界を放浪しながらダンジョンなどで生き残るために奮闘します。

このように異世界転生モノでは、主人公が異世界で冒険する姿を見れます。これは読者にとってワクワクやドキドキを感じさせるとともに、「自分も冒険したい」という願望を満たせるのかと思います。
以上のように、異世界転生モノは
ヒーロー・ヒロインにモテる
異世界で冒険する姿を見せてくれる
以上の様なストーリで読者の心をつかんでいます。
これらの姿は現実ではなかなか味わえないものですが、異世界転生モノでは可能になります。それゆえに、現実から逃れたいと思う現代人にとって、異世界転生モノは魅力的なジャンルなのです。
深掘り【なぜ?読者は作品に魅了される?】
繰り返しになりますが、異世界転生モノとは、主人公が死んだり事故にあったりして別の世界に転生したり転移したりするジャンル。その理由の一つは現実逃避・補完だと考えます。
✅補完とは「足りない点を補って完全にする」こと。
これらの要素はメリットとして『ストレスや不安を和らげる効果』がある一方で、『現実の問題を解決しないまま』になってしまうデメリットもあります。
異世界転生モノの作品は、現実逃避・補完にぴったりな要素がたくさんあります。
例えば
『Re:ゼロから始める異世界生活』では、主人公のスバルは死んでも時間を巻き戻す能力を持っていますが、その代償として苦痛や絶望を繰り返し味わいます。スバルは最初は自分の能力を楽しんでいましたが、次第に自分の無力さや孤独さに気づきます。そして自分を変えようと努力し始めます。
この作品は自分の現実に向き合うことの大切さを教えてくれます。

『転生したらスライムだった件』では、主人公のリムルはスライムという最弱のモンスターに転生しますが、その能力を活かして異種族の仲間を増やし平和な国を築き上げます。リムルは最初は自分の転生を不幸だと思っていましたが、次第に自分の新しい人生を楽しんでいきます。
この作品は自分の現実を変えることの可能性を示してくれます。

- 主人公は現実の世界では不幸だったり平凡だったりしますが、異世界では特別な力や才能を持っていたり、美少女やイケメンに囲まれたりします。これは、自分の現実に不満がある人にとっては魅力的な設定です。
- 異世界はファンタジーやSFなどの非現実的な要素が多く、魔法やドラゴンやロボットなどが登場します。これは、現実に飽きた人にとっては新鮮で刺激的な世界観です。
- 異世界では主人公が自由に冒険したり戦闘したり恋愛したりします。これは、現実では制約や危険が多い人にとっては楽しくてワクワクする疑似体験です。
以上のように異世界転生モノは、読者にとっては最高の娯楽となりえます。
しかし、異世界転生モノが今これだけ支持されているのは、異世界転生モノ作品には現実逃避・補完を超えるメッセージがあると考えます。
それはきっと現実の生活や社会に対する様々な視点や姿勢を提供するからと思います。ストレス過多な現代において現実逃避や補完は自分を守ったり思考として時には必要ですが、それだけではなく、現実に向き合ったり変えたりすることも大切だと問いかけてくるこれが支持されている理由なのかと思います。
魂の法則について
ここからはややスピリチュアル的な視点を交えて
『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』を例にして考察してみます。
このアニメは、34歳無職ニートの男性が家を追い出され行き場がなくさまよっていたところ、人を助けるためにトラックにひかれて死んでしまうが、剣と魔法の異世界で生まれ変わり、前世での知能と後悔を生かし、新たな人生が動き始める……

このアニメの特徴の一つは、主人公ルーデウスが異世界に転生した際に、前世の記憶や知識をそのまま持ち込んでいる点です。
これはこの作品における異世界転生の秘密であり、魂の法則と関係しています。
魂の法則とは、人間や動物などの生き物は魂というエネルギー体を持っており、その魂は死後に別の肉体に移動する。
つまり、異世界転生において魂が別の世界に移動しその際に記憶や知識も一緒に持ち込むことができる場合を指しているかと思います。
では、なぜルーデウスは前世の記憶や知識を持ち込めたのでしょうか?
それは彼が持っている特殊な能力を仮に『運命力』と呼びましょう。それによるものと思います。
『運命力』とは?この作品の世界では、人間や動物などの生き物は運命という力によってその行動や選択肢が制限される世界と定義します。
しかし、主人公が非業の死をきっけにパラレルシフトが発生し、本来進むであろう生き方から何らかの力(神の力?)の作用によって、前世で主人公自らが望んでいた本当の生き方を異世界でルーデウスとして転生した時に運命力に逆らうことができる特殊な能力が発動し、魂が別の世界に移動させる際に記憶や知識も一緒に持ち込むことができたのです。
このように転生後ルーデウスの能力より、異世界転生後において優位な立場に立つことができました。しかし作品が語っているのはそれだけではないと思います。
彼は異世界でも運命力を使うことができるのです。
運命力を使うことで何ができるかというと、例えば次のようなことです。
- 運命的な出会いや偶然を引き寄せられる
- 自分に有利な選択肢を見つけられる
- 他人の心を読めるなど…
これらの能力は、ルーデウスが異世界で様々な人物と関わり、冒険や戦闘をする際に役立ちます。
作中に登場する『ヒトガミ』これはこの物語のキーパーソンです。
主人公が転生した後現れるキャラです。ルーデウスにとって助言をする立場であるが、その核心についてはボンヤリした内容が主でなかなか話しません。きっと『運命力』を試しており、何かもくろんでいるようです。
魂を改めて調べると
②精神 気力
と出て来ます。
日本人が持つ太古からの死生観を俯瞰すると、世界的に見ても特殊で独特なものと思います。そこには様々な古来から持つ土着的な価値観、他国から持ち込まれた思想や宗教観などが絡み合って出来たのかと思います。
様々な宗教において死生観について見ると
①死んだらおしまい何も残らない
②死んで魂は次の世界にいく
に分けられると思います。異世界転生モノは②の価値観を基にした話です。
仏教やキリスト教、イスラム、ユダヤ教など世界各地に信仰されている様々な宗教の源流を紐解くと、
絶対的な一神・全てに神が宿る多神がベースとしてあります。
そして物理的な時間軸(過去現在未来)にのっとって信仰する神のスタイル(経典)で魂について論じられていると思います。
筆者は宗教について詳しくはないのでこれ位にしますが、②の考えだと例え現世で本来の自分が望んでいた生き方が出来なかったとしても、来世で生き直せると考えたら救いがあるのかと思います。
まとめ
今回は【異世界転生モノ】支持される秘密?~魂の法則について~でした。
現代の日本で生きて行く上で様々な問題があるのでしょう。異世界転生モノがなぜ支持されているか筆者の考えは『現実逃避・補完』し、また『現実に向き合ったり変えたりすること』とも考察しました。
コロナ禍によりこれまの価値観のパラダイムシフトがなされ、思考停止状態で毎日を忙殺されていた人達にとってこれからの未来はどの様に進むか変わりませんが、一つのヒントが今回紹介した【異世界転生モノ】にあるのかと感じます。
ただ一つ筆者が考えるのは、
”今を自分の思い通りに生きているのか?”
の問いに、この先どれだけ近づくかです。出来ることは沢山あります。
これまで諦めたり、初めからやらなかったりしていた行動を行うか?
ここで注目したいのは、昨今目に見える進化を遂げているテクノロジーです。ひょっとして今まで出来なかった自分の思いの補完なりえるパートナーと筆者は考えます。そしてテクノロジーはこの先加速度的に飛躍するでしょう。
俗に言われている『AIに仕事を奪われる』的な発想でこれまた思考停止するのも個人の自由ですが、かつて1990年代以降に現れたインターネットの時も同様な発言は多く聞かれました。しかし、現在はそれに順応した(させられた?!!)世界です。
進化は止められず、ならば順応していく。日本の古典で鎌倉時代に書かれた鴨長明の方丈記の中でも同様の趣旨が書かれています。いつの世も順応した者だけが生き延びて行く。これまた真理なのでしょうか?
運命は自分の手で切り開き進んで行く!!
どちらも選択次第です。例え結果が同じでも初めの一歩を踏み出すか否かはきっと人として生まれてきた理由になると筆者は信じて生きています。
一つの文芸作品が人の生き方を変えることは沢山あるでしょう。その一つに『異世界転生モノ』もこれからの時代には数えられます。そんな物語読んで、アニメで観てみるのはいかがでしょうか?
今回はここまで
最後まで読んで頂きありがとうございました
次の記事で会いましょう。
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